10月 3rd, 2017年

平成28年9月議会での一般質問(9月6日)

(質問項目)出雲市におけるボランティア活動の推進について

(この質問をした理由)

市内各地において、たくさんのみなさんがボランティア活動をされております。私も斐川の日本語教室で日本語ボランティアを始めて15年以上となりました。この間多くの人と知り合いになり、多くのことを学ばせてもらっています。合併後は出雲市社会福祉協議会や出雲市総合ボランティアセンターに出入りすることも多くなり、積極的に各種会合や研修に出ております。熱心な方たちと交流し、元気と柔軟さをもらっております。特に出雲市には社会福祉協議会と総合ボランティアセンターという2つの推進拠点があり、ボランティア推進の層を一層厚くしております。

阪神淡路大震災後の民間ボランティアへの評価が高まっていた頃、出雲市議会は平成7年6月30日に全員一致で「ボランティア活動の振興に関する意見書」を可決しました。その意見書の中で「ボランティア活動は今後、我が国社会において必要不可欠となる国民住民間の連帯と自立の意識を一層高めるとともに」「政府や地方公共団体の公的機能の不足や不備を補うものとしても一層重要となってきます。」と高らかに謳われており、現在の少子高齢化の下、本市の地域づくりにとって、その精神はますますます重みを増して来ていると考えます

今回の質問しようとした直接のきっかけは、7月19日、20日に東京で開催された「地方から考える社会保障フォーラム」に参加し、少子高齢化の中、これからの地域福祉やまちづくりのには専門職をはじめ。ボランティアの参加・協力が不可欠であると感じたことによります。

出雲市におけるボランティア活動を推進する2つの拠点

出雲市綜合ボランティアセンター      出雲市社会福祉協議会

質問1:出雲市総合ボランティアセンター(ボラセン)と出雲市社会福祉協議会(市社協)に登録されているボランティアの数と役割を伺います。

答弁(永瀬 学市民文化部長)

登録数

ボラセン:H28年度末:団体260、人数20,952人、個人361人

市社協    :H28年度末:団体166、人数3,545人、   個人146人

ボラセンと市社協との役割分担

市民のボランティアへの意欲と活動を支援する点では同じですが、

ボラセンの役割は、福祉を含めた様々な分野で、ボランティアに関する情報提供や調整をしたり、ネットワーク化を図ったりしてボランティア意識を高めることです。

市社協の役割は、社会福祉分野でのボランティアの関心を高め、社会への参加促進を図るため、人材育成などを行うことです。

*9月1日の防災の日における総合ボランティアセンターと社会福祉協議会との合同によるボランティア派遣訓練(出雲市役所にて)

質問2:出雲市総合ボランティアセンター(ボラセン)について、

設立の背景

活動内容・コミセンや地区社協との連携および地域への浸透策を伺います。

答弁(永瀬 学市民文化部長)

ア 設立の背景

市議会でのH7年12月20日の「ボランティア推進都市」宣言決議を受け、平成10年11月に設置(市の直営施設)

イ 活動内容

市がかかわって設置している全国でも数少ない施設。

 主な活動

・ボランティアに関する情報の収集や紹介

・ボランティアが必要な人とボランティアがしたい人とのコーディネートを行う。

・ボランティアウィークを設け、市内全域での活動の推進

・災害被災地への支援活動

・ボランティア同士の情報交換や交流をする「集う会」の開催

ウ コミセンや地区社協との連携の実態および地域への浸透策

・コミセンとの定期的な会合

・地区社協とは直接的な連携はないが、ボランティアの照会や依頼があればそれに応じている状況ですが、ボラセンに登録されている方でも地区社協に関わりを持っておられる方は多数おられますので、それぞれの情報交換を通して、更に社協(地区社協)と連携を進めて行きたいと考えます。

質問3:要支援1・2の認定者に対する介護予防・日常生活支援総合事業が今年の4月から介護保険から市の事業へ移行されましたが、全国的にはボランティア不足が報道されています。本市における状況を伺います。

答弁(永瀬 学市民文化部長)

この事業の中の通所型サービスは、軽度な人を対象に、地域住民やボランティアが運営に参画することのできる介護予防教室ですが、現在のところ市内6箇所で実施しています。市としてはもっと教室を増やして行きたいのですが、ボランティアなどの担い手が不足しています。介護予防サポーター養成講座を積極的に行って、ボランティアの養成を図りたいと考えます。

答弁(馬庭 隆健康福祉部長)

この事業の中の通所型サービスは、今までのサービスよりも人員基準を緩和して、ボランティアが事業のスタッフとして参加できるようになっています。地域、地域で必要な事柄も違っていると考えますので、地域に出かけていき、ボランティアと施設をつなぐよう努力したいと考えております。

 

質問4:「地域のコミュニティづくり」、「多文化共生」、「地域包括ケアの深化」「地域丸ごとのつながり」などの推進のため、ボランティアとの協力はますます大切になってくると思われます。公的部門や専門職員との連携や支援を含め、今後のボランティア活動の推進策について伺う。

答弁(永瀬 学市民文化部長)

ア 地域のコミュニティづくり

コミセン事業の多くは、住民のボランティア参加により取り組まれています。また集落応援隊事業は、企業や団体、個人ボランティアが草刈りなどの作業を行っておられ、市の施策と連携を図っていく必要があります。

イ 多文化共生

市内5団体が開催しているボランティアによる日本語教室、しまね国際センターが運営する「コミュニティ通訳ボランティア制度」、「災害時外国人サポーター制度」による登録や研修などが行われており、登録者不足という課題があります。市としては、養成講座の開催等の支援を充実させたいと考えております。

ボランティアによる日本語教室(アクティ斐川にて)

ウ 地域包括ケアの深化

介護予防活動や生活支援の担い手として、地域住民やボランティアの参画が極めて重要です。市としては、社会福祉協議会とも連携し、担い手養成研修の開催、関係団体のネットワークづくりとともに、地域での支え合い、助け合いの重要性を市民に啓発していく考えです。

エ 地域丸ごとのつながり

国が地域共生社会の実現に向けて、当面の方向性として示したものです。

市としても、地域の多様な分野においてボランティアの取り組みがなされることは非常に大きな意義があると考えます。

以上ア~エで述べましたように、地域の様々な分野においてボランティアの力が必要で、なくてはならない存在となっております。市は引き続き市民ボランティアの意欲、関心を高め、その活動を支援して参ります。

特に、従来の縦割り組織では解決できないものも多くあり、横のつながり、が重要となってきます。ボランティアは正に横のつながりで動けるもので、市の行政もそのような観点から一緒になって、取り組んで参りたいと考えます。

答弁(馬庭 隆健康福祉部長)

厚生労働省の方で、「我が事・丸ごと」という考えの下、地域共生社会の実現に向けて法改正をしておりますが、これは福祉に限らず、地域づくりが最終目標であり、いろんな場面で市行政とボランティアと連携をしていきたいと考えます。

 

 

質問5:総合ボランティアセンターの事務局をNPO法人で運営しようとする動きがありますが、これについて伺います。

答弁(永瀬 学市民文化部長)

ボランティアの皆さんが、積極的・前向きに議論されていることはよく承知しており、市民主体の自主的に活動する法人ができることは、更にボランティア活動が活発化するものと期待をして見守っております。ただ、法人の運営資金やスタッフの確保、市民の理解などまだまだ検討されるべき課題があると考えております。

 

質問6:市内ではたくさんのボランティアの方たちが末端で活動しておられますが、市長から励ましの言葉なり感想なりを述べていただきたいと思います。

答弁(長岡秀人出雲市長)

支え合うという基本的な部分がこの地域の大きな魅力の一つであるという思いからも、ボランティア活動が益々盛んになり、市民総参加で助け合える状況が作られればそれにこしたことはないと常々思っているところです。大変多くの皆さんの取り組みに改めて心から感謝申し上げます。

質問項目:「災害弱者」への支援策の具体化について

(この質問をした理由)

今年も梅雨から台風が到来するシーズンに、全国いたるところで豪雨に伴う土砂崩れなどの災害が発生しました。お亡くなりになられた方々には心からご冥福を申し上げます。この時期には健常者も含めて天気予報や台風の進路が気になり、それぞれの家庭で対策を立てます。災害弱者と言われる高齢者や障がいを持った人およびその家族にとっては特に不安な日々となります。東日本大震災では、災害弱者と言われる人達の犠牲者の割合が健常者と比較して2倍に上ったと推定されています。21世紀前半は地震、異常気象などが多発する「大災害時代」になると言われております。このような中、災害弱者と言われる人について個別の具体的な避難計画が策定されている場合、心の準備と安心感を持って地域社会で過ごすことができます。

なお、この類の質問は、H25年9月議会の一般質問で一人暮らし高齢者の安全・安心についてお聞きましたが、今回はそれを一歩進めて具体的な対策について質問をしました。

質問1:避難行動要支援者名簿に記載する者の範囲および現在の登録者数を伺います。

答弁(持田俊司防災安全担当部長)

避難行動要支援者名簿に登載する人は、高齢者や障がい者のうち、災害時に自ら非難することが困難で、かつ、円滑・迅速な避難を確保するため、特に支援を要する人々です。これらの人達に対しては、平時から、自治会、地区社協、自主防災組織、消防、警察、民生児童委員などの関係者と情報共有し、安全な場所へ避難誘導することとされています。

具体的な範囲は以下のとおりです。

  • 要介護3以上の認定を受けている人
  • 要介護1又は2の認定を受けている65歳以上で一人暮らしの人
  • 要介護1,又は2の認定を受けている65歳以上で、本人以外の世帯員が他の区分の避難行動要支援者に該当する人、又は18歳未満の者のみで構成されている世帯の世帯人員である人
  • 総合等級1又は2級の身体障害者手帳を所持する人
  • 療育手帳Aを所持する人
  • 1級の精神障害者保健福祉手帳を所持する一人暮らしの人
  • 1級の精神障害者保健福祉手帳を所持する人で、本人以外の世帯員が他の区分の避難行動要支援者に該当する人、又は18歳未満の人のみで構成されている世帯の世帯員である人構成
  • 市長が特に必要と認めた人

名簿登録者は、H29年7月31日現在で6,378で、そのうち3,972名が地区災害対策本部(コミセン)に対し、名前を出すことに同意されています。

質問2:名簿登載者について、災害時に誰がどのように避難の際の支援を行うかの個別の計画が大切ですが、これの策定方法等を伺います。

答弁(持田俊司防災安全担当部長)

個々人にあった個別の避難計画の策定にあたっては

 民生委員やケアマネージャー、相談支援相談員の介護度や障がいの程度に関する専門的な知識とともに、災害の発生時や状況に応じた地域ボランティアの確保が求められます。

 名簿登載に同意のあった人3972名について、43コミセンの地区災害対策本部や地域ボランティアなど様々な人の協力を得て、面接し、作成することとしています。既に、ケアマネージャーなどの団体へは説明済みですが、今後は地区災害対策本部(コミセン)に出向き、必要性や地域や近隣の人々の協力が不可欠である旨を丁寧に説明し、地域の実情に合った方法を検討し、個別計画を作成していきます。

 

質問3:個別の避難計画の策定に当たっての課題は何か。

答弁(持田俊司防災安全担当部長)

各地区によって利用できる人材や資材などは様々であり、全地区で統一した避難計画を策定することは困難です。各地区の実情に合った策定方法を検討し、個別の避難計画を作成することとなります。それから、名簿登載に同意されていない残りの2,406についても、実際に災害が発生した場合には名簿を地区災害対策本部(コミセン)に示し、避難誘導をすることとなります。名簿登載に同意され普段から提供していただければ地域の人にも分かり易いと考えますので、同意していただくようお話ししていきたいと考えます。