11月 19th, 2018年

H30年9月議会報告

一般質問:小学校の普通教室へのエアコンの早期の設置を求める。

(この質問をした理由)

出雲市内すべての中学校の普通教室へのエアコンの設置は今年の6月下旬に完了しましたが、小学校へのエアコンの設置工事はこれから取りかかることとされています。近年の猛暑の中、児童および教職員の健康面および学習能率の向上面から急務であり、来年の夏までにすべての小学校の普通教室へエアコンを設置すべきと考え、この質問をしました。

なお、この問題は関心が高く私を含め5人の議員が質問をしました。

 

質問:

すべての小学校へのエアコン設置のための実施設計予算が2280万円計上されていますが、現時点の進捗状況および設置見込台数、設置工事費を伺います。

答弁(植田義久教育部長):

・既に設置してある西田小と来年度統合予定である乙立小および塩津小を除く33校の普通教室(特別支援教室を含む。)に設置します。

・教室数は510教室を計画しており、1教室に2台を設置しますので全体で約1,000台設置することになります。

・工事総額は8億6,000万円程度になる見込みです。

・今後の国の補正予算の動向にもよりますが、できるだけ早期に工事に着手し、来年度中には設置を完了したいと考えており、そのための補正予算を12月議会に提出できるよう準備を進めております。

質問:

来年度中の完了ではなく、「来年夏までの完了」と考えたい。国への強力な要請とか市内部での財源の措置とかいろいろ手法はあると考えます。その点を含めて再度意向を伺います

答弁(槙野教育長、植田義久教育部長):

来年夏に間に合うようにすべての小学校にエアコンを設置したいという思いは、市長も含めて紛れもない気持ちです。国の補正予算の動向や市の財政状況も見なければなりませんので、ご理解を賜わりたいと存じます。

(コメント)

この問題は子どもたちや教職員の「暑さ災害」の事前防止という大きな問題であり、速やかな対策が求められており、質問にも力を込めました。財政問題とも密接に絡んでおりますが、市長や教育長の意向も読み取れましたので、12月議会の補正予算に期待したいと考えます。

一般質問:ミュージカル「あいと地球と競売人」の出雲市での実施について

(この質問をした理由)

このミュージカル「あいと地球と競売人」は、地球環境の危機を訴える漫画「地球の秘密」を執筆した直後に急逝された斐川町の故坪田愛華さんの「地球の秘密」をミュージカルにしたものです。私も現職時代に見ましたが、このミュージカルは地球環境の保護を訴えるとともに、エキストラ出演による子どもの教育、文化振興に大きな意義を有するものと考えております。今年は美保関町のメテオプラザで5年ぶりに公演されました。(9月15,16,17日)私はメッセージ性の高いこのミュージカルの企画・公演を、市として取り組んでみてはという提案の意味を含め、質問をしました。

質問:以下の点について伺います。

① このミュージカル全体の意義・効果の認識

② このミュージカルには多くの子どもがエキストラ出演し、演技を通して地球環境保護意識の涵養と学校では得られない多くのことを学び得ていると聞いていますが、教育上の効果の認識

③ メッセージ性の高いこのミュージカルを故坪田愛華さんの出生地である出雲市で実施すべきと考えるがその意向を伺います。

答弁(赤木亮一環境担当部長):

  • このミュージカルには、海の汚染、酸性雨、オゾン層破壊に触れられ、地球に住む皆が協力し合い、美しい地球を守って行かなければならないという強いメッセージが込められており、県民・市民参加型により多くの方へ感動を与え、その功績は大きいものがあります。
  • 教育上の効果につきましては、学校以外の社会教育活動として、豊かな心の育成とともに、多くの人との関わりの中で生きる力を育む意義あるものと考えます。
  • 出雲市での公演につきましては、多くの市民の皆様の機運が高まってくれば市としてできる支援を検討してまいりたいと考えます。

質問:

市民の皆さんの機運が高まれば、市としてできる支援を考えたいとの答弁であるが、市として積極性がないように感ずるが、これについて伺います。

答弁(永瀬学市民文化部長):

市民が手作りで行うミュージカルですので、市民やリーダーが企画・運営することであればその人たちが声を上げて機運を高めることが大切と考えますので、そのような状況になったら文化振興の立場上、支援する方策を十分に検討して参りたいという意味でございます。

答弁(長岡秀人市長):

市民の機運が盛り上がればというところに尽きると思います。行政が先導してやるような話とは違うかなと思います。スタッフ、キャストなど自前で作ろうと思えば相当な人の力が必要です。その辺りがしっかりやれる見通しが経てば市としてもしっかりと支援をしていきたいと考えております。

(コメント)

市の意向は、市長の答弁ですべてが語り尽くされています。このミュージカルのメッセージ性(地球環境の保護)、エキストラ出演による子どもの教育、出雲市の文化振興に与える大きな意義は認めつつ、実行委員会の組織化、スタッフの人選や資金などの準備がされたのちに市が支援に動くというスタンスです。関係する人や理解ある市民の方との相談や意見交換をして行きたいと思います。

9月16日のメテオプラザでの公演開始直前の様子。会場は満席でした。

テーマ:出雲市議会議員定数が「32人」→「30人」へ削減される

議会改革・調査特別委員会の多々納剛人委員長の報告の要旨

1 「検討経緯」

  • 議員定数の削減については、下記の検討経緯が示すように市議会において2年半のうちに精力的に調査・検討された。人口(17万5千人)、面積(東京23区とほぼ同じ624.36㎞)、地理的状況(中山間地や僻地、辺地、海岸集落が多い)、議員定数の削減の努力(H17年の合併前の2市5町の議員数126→現在32)、を考慮し、議員の中にも削減に慎重な意見が多かった。
  • また、「市と地域とのパイプ役が減る」、「地域の声が市に届きにくくなる」など市民の中には削減に不安や消極的な意見がある。
  • このような中、議会改革という大きなフレームの中で「地方分権にふさわしい議会はどうあるべきかを念頭に議会が進むべき方向性や役割」や全国の類似団体との比較などについて真剣に議論が重ねられた。

2 「30人とした根拠」

  • 委員長報告によると、一定のコミュニティに1人の議員を配置できる数を導く「代表制」の観点と議員の役割・機能を最大限発揮するため活発な審議・討議ができる常任委員会の委員数を根拠とする「合議制」の二つの観点から整理されている。「合議制」の観点:一つの常任委員会で討論できる適正人員は7人~8人とされており、4つの常任委員会があるので議員総数は28人~32人の範囲となる。「代表制」の観点:議員一人当たりが受け持つ住民数は本市と類似する団体と比較すると少なく(52団体中多い方から数えて43番目)、また類似団体の議員定数は30.04人である。近年議員定数を定めた類似団体の議員1人が受け持つ住民数の平均がほぼ一致したことから「30人」とする。

3 広聴機能の強化

5月24日の自治協会、経済団体、福祉団体等の代表者の意見は殆んどが削減反対であったし、9月20日の出雲市自治会連合会から提出された「市議会議員の定数の議論に関する報告書」でも削減に賛否両論があった。共通しているのは、「なかなか議会の声が聞こえてこない」「もっと市民の声を聞いてほしい」との率直な意見であった、委員長報告では今以上に広聴機能を強化し、市民の皆さんの意見、要望等を応えなくてはならないとされている。

コメント

  • 私もH29年4月の改選までは議会改革・調査特別委員会の委員として議員定数、議員報酬、政務活動費について調査・研究に携わっていました。
  • 議員定数の「2減」については、どちらかというと慎重な考えでありました。それは、東京23区とほぼ同じ広大な面積で、中山間地や僻地、辺地、海岸集落が多いという出雲市の独特な地形の中、周辺部の声が届きにくくなるという理由からでした。
  • しかし議論を重ねるうちに、地方分権が進み、大きな流れに沿って進む必要があるとともに、委員長報告では触れられていませんでしたが、厳しい行財政改革の中で執行部は努力を重ねており(職員数の削減や市長などの特別職の減額)、議会も身を切る覚悟が必要であると考えるようになり最終日の本会議で議員定数を「32人」から「30人」削減する条例案に賛成をしました。
  • ただ委員長報告でも述べられているように市民の意見や要望等が議会に届くよう今以上に議会の広聴機能を強化することが必要ですし、議員の活動も求められていると考えます。

(検討経緯)

  • H28年2月22日:議員定数を32人から30人に削減する条例案が議員提案される。
  • H28年3月2日:議会改革・調査特別委員会(11人)が設置され、調査・研究が進められた。
  • H28年3月18日:本会議において議員提案条例案を否決
  • H28年度は委員会を10回開催するとともに、都城市、中津市を視察した。
  • H29年4月の選挙後あらたに議会改革・調査特別委員会を立ち上げ(メンバー交替し)調査・研究を行った。
  • H29年度は委員会を7回開催するとともに、会津若松市を視察するとともに、姫路市で開催された全国市議会議長会の研究フォーラムに参加した。
  • H30年度は委員会を7回開催するとともに、5月24日には、自治協会、経済団体、福祉団体等の代表者を参考人として招致し意見を伺った。
  • H30年6月26日:参考人の意見を踏まえ、各会派の意見を取りまとめ、「2減」とする委員長案を提示
  • H30年9月20日:出雲市自治会連合会から「市議会議員の定数の議論に関する報告書」が提出された。
  • H30年9月25日:議会改革・調査特別委員会において賛成多数で議員定数を32人から30人に削減する条例案を可決
  • H30年9月27日:本会議において32人から30人に削減する条例案を可決(反対1人)

テーマ:斐川地域の課題:宍道湖西岸堤防嵩上げ工事が進行中

1 宍道湖西岸堤防嵩上げ工事が進行中

  • H30年10月4日(木)宍道湖西岸堤防期成同盟会の役員で工事現場を視察
  • 工事個所:斐川町三分市六丁場自治会先の堤防計画堤防高(3.50m)より最も沈下が進んでいる(97㎝沈下)箇所を含む200m区間
  • 工事内容の説明(発注者:国土交通省出雲河川事務所から説明)堤防高を3.5mと堤防幅を5mとするために盛土をするものです。なお、堤防幅5mのうち3mを天端を保護するために舗装を行うものです。宍道湖側斜面を30度の傾斜(2mごとに1m下げる)に掘削し、整形後に遮水シートで覆い、栗石で覆い、最終は捨石張りをするとの説明がありました。


写真右の捨石張りの頂上部まで盛土をして堤防の天端を施行します。


捨石貼り施行中の湖岸提

テーマ:出雲村田製作所が生産設備を増設へ~400人の雇用増を目指す~

(9月27日の全員協議会で執行部からの報告)

高機能化が進む通信機器向け電子部品(スマートフォンなどのモバイル機器)や電装化が進む自動車向け電子部品(自動運転システム・安全装置システム)の需要増に対応するため、400億円をかけて事業の拡大を図ることとしました。地域の産業振興や雇用の場の拡大を考えると望ましいことと考えます。一方、周辺環境への影響や外国人労働者対策など新たな課題への対応も求められます。

1 設備投資の内容

  • 斐川中央工業団地(西工区)へ新生産棟(建物と償却資産)の建設
  • 敷地面積:49,890㎡(15,118坪)
  • 建物面積:鉄骨造り地上4階建:10月1日に工事に着工し、来年11月に完成予定。操業は2020年4月。
  • 既存の工場内での生産設備(償却資産)の増設
  • 敷地面積:256㎡(78坪)

2 雇用計画

  • 新卒者とU・Iターン者を年100人ずつ採用し、十巻の派遣従業員(日系ブラジル人)を加え、創業後3年(2021年)には400人の増とする予定。

3 市および県の助成

(出雲市の助成額)

  • 出雲市企業立地促進条例に基づき、上記①については、投資助成として1億円、雇用助成として5,000万円の計1億5,000万円を助成
  • 上記②については、投資助成として増設される償却資産に対する固定資産税相当額の20%分を3年間助成、雇用助成は100万円を限度に助成

(県の助成額)

  • 投資助成として7億円、雇用助成として4億円の合わせて11億円を助成

4 出雲市の課題

  • 周辺環境対策として、交通量の増加や駐車場対策、道路対策が急がれる。市には関係課によるプロジェクトチームができているが、これらを真剣に議論して速やかな対策を取ってほしい。
  • 日系ブラジル人(現在約3,000人)も更に増加することが予想され、具体的なサポート体制や共生できる環境整備への取り組みが求められる。


太線で囲まれた部分が今回の生産設備増設区域

テーマ:乳幼児医療費助成事業について

1 議会での審議の経過

  • 乳幼児医療費助成は、子どもの入院、外来(通院)、歯科、調剤(薬)にかかる医療費を助成するもので、出雲市ではH26年7月から範囲を拡大し、それまでの3歳未満から小学校就学前まで無料化にしております。
  • その後も負担軽減(無償化)の範囲拡大要望は続き、ほぼ毎回議会に陳情がなされています。最近では、H29年11月21日とH30年8月1日に小学校卒業までの医療費の無料化と自己負担額の軽減を求める陳情が出されています。
  • 議会は、下記の理由からもこの2つの陳情を「不採択」としました。

(不採択とした理由)

  • 医療費の無料化は、全国一律の医療費制度として、原則、国が実施すべきである。→(6月議会において国に提出する「子どもの医療費助成に関する意見書」を可決)
  • 出雲市の子育て支援については、年々予算を増額させながら総合的に取り組まれており、県内他市に劣ることはない。(H30年度の子育て支援全体の予算額149億42百万円)
  • 小学生まで無料にした場合、恒常的に更に2億8千万円の財政負担が生ずる。(H29決算額4億2347万5千円、H30年度予算額4億4270万円)

(コメント)

小学生の医療費の完全無料化を求める陳情は、行財政改革を進めている出雲市にとっては厳しいものと考えます。しかし、子育て世代の医療費負担の軽減は大切と考えます。特に、医療費の中でも入院については一時的に高負担を余儀なくするものであり、入院に対する助成は、無料化を含めた負担軽減策が必要であると考えています。9月議会での文教厚生委員長報告の中の付帯意見でもこの旨に言及されております。議会としても来年度の予算編成に向けしっかりと市長に要望することとしております。


(資料)

  • 県内他市の小学生の数(比較可能なH29.3.31現在)小学生の数:出雲市9,645人、松江市10,967人、浜田市2,577人、益田市2,440人、安来市2,000人、雲南市1,917人、
  • 出雲市独自の助成制度を設けるよう執行部に求める。
  • 外来(通院)、歯科、調剤(薬)にかかる医療費全体の助成については不採択にしつつも、負担の大きい入院に対する助成は必要と考えるので、議会として、市長へ予算要望を行っていきたい。

(9月議会での文教厚生委員会委員長の付帯意見)

「不採択とすべきものと決定しましたが、入院に限定し、仮に高校生まで無料とした場合には、5,100万円で実施できるとの試算が出ていることから、医療費の完全無料化は難しいが、一時的に高負担を要する入院については、窓口での一時支払いをしなくても良い方法も含め、導入を検討すべきとの意見があり、この件については、全委員の賛同がありましたことを申し添えます。」