平成24年6月議会「一般質問・答弁の概要」

6月議会での一般質問は6月13日から18日まで行われ、全部で23人の議員が行いました。

私は、一般質問のトップバッターとして、以下の3点について市長及び執行部の見解を質問いたしました。

その概要は以下のとおりです。

 

1 枝葉リサイクルセンターの活用について

2 農業と障がい者雇用について

3 「神話の国出雲さんさん倶楽部」事業について

 

1 枝葉リサイクルセンターの活用について

(この質問をした理由)

・斐川地域においては、平成24年3月までは、築地松の剪定や庭木・屋敷森の剪定により発生した剪定枝を、主として斐川町直江にある枝葉リサイクルセンターへ搬送し、チップ化し、堆肥等にリサイクルしていた。

今年4月には休止され、芦渡町にあるエネルギーセンターの枝葉リサイクルセンターでの処理に一本化された。

・斐川地域の住民は、便利さや運搬負担の軽減のため、斐川町直江にある枝葉リサイクルセンターの早期の再稼動を求めている。

*芦渡町のエネルギーセンターの枝葉リサイクルセンターの限界処理トン数は年間1万トン *H23年度の処理トン数は1549トンでした。

 

(質問)斐川町にある枝葉リサイクルセンターは、①いつ建設され、②どういう機械を備え、③平成21年度、22年度及び23年度の搬入台数はいくらであったか伺う。

(答弁)(板倉勝巳環境政策調整監)

①   平成13年11月16日開設

②   自走式破砕機1台 ショベルローダー1台

③   搬入台数

平成21年度181トン、平成22年度190トン、平成23年度165トン

 

(質問)休止するまで、運営はどのようになされていたか。

(答弁)(板倉勝巳環境政策調整監)

・斐川町シルバー人材センターに委託

・利用者がシルバー人材センターの事務所へ電話をし、枝葉リサイクルセンターへ持ち込む時間を予約し、その時間に持ち込み、受付けをし、チップ化する。

 

(質問)枝葉リサイクルセンターの稼動を休止した理由は何か。

(答弁)(板倉勝巳環境政策調整監)

・芦渡町にあるエネルギーセンターには処理能力の高い枝葉処分施設があり、市内に類似施設が複数存在することになった。

・シルバー人材センターの合併により受付事務の可能な職員が削減され、従来どおりの受付及び処理業務を行うことが困難になった。

以上の2点から、当分の間、休止することにした。

 

(質問)また、エネルギーセンターの枝葉リサイクルセンターと斐川町にある枝葉リサイクルセンターの双方でチップ化することについて、今年度中に結論が出されると聞いているが、この点について伺う。

(質問)枝葉をチップ化し資源の再利用を円滑に進めるためにも、また築地松や屋敷森を保全しようとする住民のインセンティブを高めるためにも、斐川地域住民の利便性や利用のしやすさ、あるいは運搬費用の負担の軽減に配慮されるべきと考える。このような点から、一日も早い枝葉リサイクルセンターとエネルギーセンターの双方稼動が望ましいと考えるが伺う。

(答弁)(板倉勝巳環境政策調整監)

斐川地域の皆さんにとっては、この施設が斐川地域にあることにより利便性は高くなると考えるが、正確な搬入量を測定する計量施設の整備や受入業務の職員配置などに課題がある。現在、枝葉のリサイクルに関する効果的な施策を総合的に検討しており、早急に明確な方針が出せるようにしたい。

 

(質問)野焼きは、原則として禁止されているが、田園地帯では融通をきかせることがあっても良いと考えるが、その点を伺う。

(答弁)(板倉勝巳環境政策調整監)

農作業で出た枝葉等は例外で、野焼きはできると考えている。ただ、この場合も風向きとか住宅の洗濯物とかに十分に注意をされ実施していただきたいと考えております。

 

(答弁に対する私の意見)

何回かの再質問を通して、斐川町直江の枝葉リサイクルセンターの必要性「再稼動に向けて」早急に明確な方針が出せるようにする」旨の答弁を引き出せました。今後の市当局の検討状況を注視して行きたいと考えております。

 

2 農業と障がい者雇用について

(この質問をした理由)

・私は、従来から農業は自然のいとなみの中で行われる産業であり、障がい者が働く環境として好ましいものであると考えています。

・各障がい者支援施設にも「農耕班」があり、多くの障がい者が福祉的就労として農業に従事しています。出雲市において、障がい者が農業分野に一般就労する際の課題について知りたいと思っていました。

・2月10日に出雲市で、浜松市の京丸園株式会社の園主である鈴木厚志氏の「農業分野での障がい者雇用の取り組み」と題する研修を受けることができ、従来の考えを転換させた斬新な発想に驚いたところです。

・このような中、529日に市議会の文教厚生委員会で、京丸園株式会社(農業生産法人)を視察する機会を得ました。

・京丸園株式会社では、障がい種別と本人の意向を基に適所に配置し、障がい者が取り組みやすいように作業を分解し、具体化し、作業効率の上がる機械・器具の開発や作業環境の整備を行っておられました。

・そのような努力の結果として、障がい者は自分の役割を感ずることができ、また法人にとっても、①障がい者との交流を通して職場内の人間関係・労働環境が改善され、経営効率の向上に繋がり、②付加価値の高い商品の生産が可能となり、③収益の増加をもたらしたと社長は述べておられた。

・浜松市には、障がい者を受け入れる農家が50軒近くあり、市としても、市の関係各課、県、大学、労働局、地域の農業者や福祉施設と連携した推進組織を作り、ユニバーサル農業の推進に努めています。

 

(質問)平成22年度及び23年度に本市の障がい者自立支援施設から企業等へ、一般就労した人数と比率を伺う。そのうち、農業分野へ一般就労した人数と比率も併せて伺う。

(答弁)(持田純二農林水産調整監)

出雲市には障害者自立支援法による就労系事業所が21箇所ある。

通所・入所人数:平成22年度337人、平成23年度427人

一般就労した者:平成22年度23人(6.8%)、平成23年度24人(5.6%)

農業分野へ就労した者:平成22年度0人、平成23年度2

 

(質問)本市において、農業分野で障がい者を雇用している企業はいくらか。

(答弁)(持田純二農林水産調整監)

県全体:常用労働者56人以上の企業447社のうち、6社で雇用

出雲市の農業分野の企業:常用雇用1社、パートタイム雇用1社、障害者自立支援事業所からの通い就労1

 

(質問)障害者が農業分野へ一般就労する際のハードルをどのように分析しているか、健康福祉サイド及び農林サイドの双方に伺う。

(答弁)(持田純二農林水産調整監)

①   障がい者側のハードル

・仕事の工程が、障がい者の適性に合うように分解されていない。

・作業現場に正しい理解をもった指導者が十分に配置されていない。

・収穫時期が一時的で安定した就労につながりにくい。

・体力を要する。

②   雇用する農業者側のハードル

・農業生産法人や集落営農組合においては、地域外からの雇用受入はほとんどなされていない。

・中心作目の水稲では、大型機械を長時間使用するため、障がい者の作業には向いていない。

・野菜や果樹栽培の場合は、個別農家が経営単位で、家族以外の就労者を雇用するゆとりがない。

・野菜や果樹の生産・流通・販売を手がける6次産業化企業が出雲市では少ない。

③ 以上のように、障がい者側、雇用側の双方に課題があり、それぞれの状況を相互に認識しあうことから始めるべきと考える。

 

(質問)今年度中に出雲市の農業振興計画が策定されることとなっているが、計画の中へ担い手の育成支援策のひとつとして「ユニバーサル農業推進事業」あるいは「農業分野への障がい者雇用」に言及すべきと考えるがこれについて伺う。

(答弁)(持田純二農林水産調整監)

出雲市において障がい者雇用の事例は少ない。市役所においても農業、福祉、雇用の部局が連携する体制は整っていない。

ただ、高齢化、耕作放棄地の増加に対し、多様な担い手の確保が求められている。また、6次産業化や経営の多角化により農業分野での雇用の創出も期待されている。従って、農業振興計画を検討する段階で、障がい者雇用の観点も含めて検討していきたい。

 

(質問)計画を実行に移すには推進体制も重要である。

ついては、市の農林部局や福祉部局、農業経営者や企業、県や労働局、特別支援学校が一体となった「出雲市ユニバーサル農業推進体制」の組織化について伺う。

(答弁)(板倉 優健康福祉部長)

企業側の理解・工夫により、また経済性の観点も含めて、障がい者にふさわしい作業を作っていくことが、障がい者の安定雇用につながると理解している。京丸園の事例も企業側の理解と養護学校の先生方の熱意により10年もかかり一つひとつ作り上げられたと聞いている。このような事例を視察も含めてもう少し勉強して行きたい、また市内で取り組んでおられる事業所とも情報交換をしながら安定雇用につながるよう努めて行きたいと考えている。

 

(質問)最後に、市長さんに同じ質問を行います。

(答弁)(長岡市長)

今までの質問・答弁を聞いて障がい者雇用問題はこの地域においてはまだまだハードルが高いと実感したところであります。

斐川町ではシクラメン栽培において常用雇用の形態をとっておられるところもございますし、パート雇用ではレタスの水耕栽培に従事されている障がい者もおられる。可能性というのは相互の理解のもとに広がってゆく、また広げなければならないという思いです。ご提案の先進地視察等も含めて、関係者が一堂に会して前向きな取り組みができるようなそういう方向で今後取り組んで行きたいと思っています。

 

(答弁に対する私の意見)

 ・答弁を通じて、農業分野への障がい者雇用はこの出雲市ではまだまだと感じました。しかし、出雲市内でも一部の農家では障がい者を雇用しておられるところもあります。

 ・今年度策定予定の農業振興計画で障がい者雇用に触れるよう検討する旨の答弁や、また今後先進地視察や関係者との意見交換を行い安定雇用に努力する旨の答弁がなされ、今後に期待したいと思います。

 

3 「神話の国出雲さんさん倶楽部」事業について

(この質問をした理由)

・この事業は、平成24年度に住宅用太陽光発電システムを自宅等に設置する

市民に「神話の国出雲さんさん倶楽部」に加入してもらい、加入者全体で削減されたCOの量を排出権として売却し、その売却収入を出雲市の新エネルギー施策に活用する事業であります。

・この事業は、山陰両県で始めて導入されました。

・この事業の先駆性に着目し、以下の点について質問をしました。

なお、出雲市の住宅用太陽光発電設置の申請件数は1159件(6月5日時点)です。

 

(質問) 住宅用太陽光発電システムを自宅等に設置された市民の方々が、この事業内容を理解し、進んで加入してもらうことが大切と考えるが、その方策について伺う。

(答弁)(児玉俊雄産業観光部長)

この取り組みは環境にやさしいまちづくりを市民と一体となって行うもので、今年の3月に、市民に代わって市の補助金申請手続きを行う施工業者にこの趣旨を説明するとともに、市民に対する周知を依頼している。また、市のホームページにも掲載し周知を図っている。

 

(質問)自宅の太陽光発電システムにより削減されたCOの排出量を捕捉することは容易にできるか。

(答弁)(児玉俊雄産業観光部長)

削減量の捕捉は、サンプリング調査(抽出調査)により対象者を限定し、

実績報告書を作成するという簡便な方法により行う。

 

(質問)COの売却価格1500円/トンの根拠を伺う。

(答弁)(児玉俊雄産業観光部長)

政府は国内クレジット制度の活用を促進するため、CO1トン当たり1500円の助成を決めており、この国の制度を活用する。

 

(質問)出雲市の新エネルギー施策関連の取組みに対し、国内クレジットからの収入額を活用するとあるが、具体的にどのようなことに活用するつもりか。

(答弁)(児玉俊雄産業観光部長)

この事業の実施により年間20万円程度の収入を予定している。収入は、市民を対象としたエネルギー関係のセミナーや市内の新エネルギー施設を巡るツアーの費用に充てる予定です。

 

(質問)COの排出量を削減するため、クリーンな再生可能エネルギーは今後益々増え、国内クレジット制度の活用も増えると予想される。この制度を他の分野、例えば、バイオマス、中小水力発電、あるいはメガ・ソーラーなどへ普及させる計画はあるのか伺う。

(答弁)(児玉俊雄産業観光部長)

例えば木質チップボイラーを公共温浴施設に導入し加温用に利用する場合や中小水力発電事業を実施し自家消費する場合はこの制度を活用することが可能である。今後活用できるものについては積極的に活用して参ります。

なお、メガ・ソーラーは売電であり、自家消費に充てるものではないため対象にはならない。

 

(質問)現代的課題を踏まえた先進的な事業に挑戦する職員の姿勢を高く評価したい。山陰両県で始めての取り組みであるが、挑戦しようとする気持ちは今後も発揮してもらいたい。職員が新しい事業に挑戦しようとする環境づくりが重要と考るが、市長の考えを伺う。

(答弁)(長岡市長)

・国の制度を、市民の皆さんが良く理解し、参加していただけるようさまざまな角度から検討し、新エネルギーやCO削減への取り組みに市民一人ひとりが参加できるような仕組みを発案したものであり、一つの模範になるような取り組みであると評価しています。この分野に限らずさまざまな分野で取り組んで参りたいと思っているところです。

 

(答弁に対する私の意見)

COの排出権取引という先駆的な事業を市の事業として組み立て、かつ、僅かではあるが市の収入を増やそうとするこの事業は、現代的課題に挑戦しようとするものであり、評価しています。このような姿勢でこれからもさまざまな分野で取り組んで欲しいと思います。

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